ローコストで新築のクリニックを建てたい!
新築のクリニックを建築するためには非常に多額の費用が必要になります。費用をかければ豪華なクリニックが出来上がりますが無駄を省くためにはむしろローコストを意識する必要があります。ではローコストのクリニックとはいくら程の費用がかかるのでしょうか?
ローコストのクリニックを目指す
勤務医から独立して開業医になる際に新築のクリニックを建てる場合は、高額な建設費用が必要になります。そのため開業の際はそれなりの資金を自分で用意しなければなりません。
医療施設の建設は費用がかかる
クリニックは他の建物と違って高額になりがちです。何故ならばクリニックは医療機器やバリアフリーに特化した設備が必要だからです。例えば治療するために必要な医療機器の設置や、車椅子に乗った人でも楽に移動できるだけのスペースを確保するといった対策が必要になります。
他にも自身のクリニックの名前が書かれた看板、郊外の立地ならば広い駐車場も取り入れなければなりません。そうなると費用のかかる内容ばかりになってしまいます。
しかし実際にはクリニックの費用相場よりもっと少ない金額で建てられたローコストクリニックもあります。医療施設としてのクオリティを保ちつつ建設費用を抑えるためには無駄を省き、工夫を凝らすアイデアが求められます。
新築のクリニックの建設費用はいくら必要?
新築のクリックには高額な費用が必要になりますがどれくらいの建設費用が必要になるのでしょうか?
相場は約4000万~6000万円
一般的には建設初期にかかる費用として4000万~6000万円ほどかかると言われています。坪単価に換算すると約90万~100万/坪になります。またクリニックの開業に当たってはこれとは別に医師会への入会金、広告宣伝費、備品の購入費用なども必要になります。そのためクリニックの新築は基本的に自己資金だけで開業するのはかなり厳しいので、最初は金融機関の融資に頼るケースが多く見られます。
設計費用は内容に大きく左右される
クリックの建設費用は診療科目ごとに求められる構造や設備の種類にも影響されるので、当然もっと安い物も高い物も存在します。例えばクリニック内にX線を導入する場合、X線専用の部屋と設備が必要になります。そうなると当然費用も高くなります。逆に問診が多く治療にも広いスペースを必要としない診療科目のクリニックであれば建設費用をかけずに設計できます。
クオリティは維持しなければならない
新築住宅と同様に建物の広さや素材の質を落とせば費用は安くなります。しかし費用を値切ることばかり考えていると「室内の温度管理が出来てない」「通路が狭くて移動しづらい」「せっかく来院したのに医療設備が整ってないからここでは治療を受けらえない」などの不満が出てしまいます。そうなると居心地が悪く使いづらいクリニックになってしまうので、悪い噂ばかり広がって患者数が増えない状態が続いてしまいます。患者数が増えないと収入も上がらないので悪循環に陥ってしまいます。
無駄な設備や建設費用を抑えてローコストクリニックを開業するにしても、医療設備に本来求められるものは絶対に外してはいけません。患者数が好んで通院したくなるようなクリニックを目指しつつ無駄のないローコスト住宅を目指しましょう。
クリニックの開業にはどうしてもお金が必要
そもそもクリニックの開業自体がどうしても高い建設費用を必要としてしまいます。治療に必要な医療設備の導入、バリアフリーを意識したある程度のスペースの確保、待合室や診察室やスタッフルームなどの部屋数の確保、全体的な衛生管理など一般住宅には無い設備を導入しなければなりません。ローコストを目指すならその中で医療施設に必要な最低基準を保ちつつ、費用を削減するという作業が発生します。
新築のクリニックをローコストにするためには?
ローコストで新築のクリニックを設計するためにはどうすれば費用を抑えられるか?クリニックの建設において節約してもいい部分はどこか?を把握する必要があります。
現場作業が発生しない工事
新築物件の建設費用を節約する方法として最近では「現場作業が発生しない工事」を導入しています。建物の工事は基本的に素材を現場まで運んで、取り付けられるようにその場で加工してから組み立てるという流れになります。しかしこの作業方法だと現場作業が多くなってしまい、人件費が高くなってしまいます。また現場の立地条件によっては作業自体が困難になってしまうこともあります。
そのようなデメリットを克服するために最近では素材を出荷前の倉庫や工場内で事前に加工を済ませてから現場へ運ぶという流れで作業しています。これなら現場でやることは出来上がった素材を組み立てるだけなので、作業が簡単になり人件費削減にも繋がります。この方法はクリニックの新築に導入しても支障は出ないのでローコスト化に大きく貢献してくれます。
木造建築の起用
医療施設の様な断熱や防音などの設備が重視される建物の場合、鉄骨造や鉄筋コンクリート造といった安定感のある建物が多くなります。しかしそれらの建物は造りがしっかりしている分工事費も高くなってしまいます。
ローコストを意識した建物には木造建築が向いています。木造は断熱性が高くて耐久性もあるので長期間に渡って使い続けられます。また木造は金属を使用した建物と違って自然由来の独特な温もりを感じられます。これによってクリニックに必要なリラックス効果を得られます。そのため木造建築はローコスト化だけでなくクリニックに必要な性質も備わっています。
安定した地盤の土地
新築の建物を建てる際はその土地の地盤も費用に関係します。新築の建物を建築する際は必ず事前に地盤調査を行い、安定感があるかどうかを確認します。地盤は安定感のあるしっかりした場合もあれば、緩い土層・空洞・障害物などが埋まっていて安定感が得られない場合もあります。
安定感のある地盤なら問題ありませんが、不安定な土地の場合は建築前に地盤改良工事が必要になります。地盤の緩い土地で建築すると災害時に安定感が保てず、非常に危険なので必ず改良工事をしなければなりません。
地盤改良工事が必要な場合は当然その分の工事費が追加されます。そのため少しでも費用を削減するためには地盤改良工事が不要な土地で建てる必要があります。
内装のローコストを目指す
クリニックの費用は建物自体だけでなく内装も大きく左右します。クリニックの内装は患者様の居心地の良さと医療スタッフの働きやすさに直結するので医療施設としてのクオリティを保ちつつローコストを目指す必要があります。
内装にかかる費用の目安
クリニックの内装にかかる費用の目安は工事金額全体の約10~20%が妥当とされています。これを坪単価に換算すると約3~7万円/坪となります。
診療科目の違いによるクリニックの広さ
建物の広さは診療科目や施主様の要望によって大きく異なります。相場では約30~70坪となっています。
例えば歯科医の場合は待合室も治療室も広いスペースを必要としないので、比較的狭い範囲で済みます。X線室も必要ですが一人分程度のスペースでいいのでそれほど広さを必要としません。
逆に外科は車椅子や松葉杖を使用した患者様が頻繁に来院するので広い待合室が必要になります。玄関や建物内の至る所にバリアフリー対策を施す必要もあります。またリハビリ室や全身を移すX線室も必要なので広いスぺースだけでなく、専用の医療機器も必要なので費用は比較的高めになります。
医療機器のローコスト化
開業時に必要な医療機器の費用も診療科目によって異なります。相場では内科で2000万円、 外科で3000万円の設備費用が必要とされています。
開業時のローコスト化を目指すなら医療機器は必要最低限の物だけ揃えましょう。設備機器は後からでも導入出来ますし、実際の開業医の方々からは「必要になるかもしれない設備を購入したが実は全然使っていない」という意見が多く挙がっています。このことから医療設備の導入に関しては必要最低限の物だけ揃えて、迷っている物に関しては様子を見ながら導入するという方法が好ましいでしょう。
まとめ
今回ご紹介した内容は以下の通りです。
・クリニックのローコスト化は医療施設としての一定の質を保つ必要がある
・クリニックの開業に必要な費用は診療科目によってことなる
・建物の材質や工事方法などによってローコスト化が実現できる