開業医の給料について。収入の安い医師にならないために
医師は給料の高い職業として有名ですが、開業医の給料は必ずしも高い物であるとは限りません。実を言うと経営に失敗して安い収入しか得られていない開業医も存在しています。そこで今回は開業医が得られる給料の相場と収入源である患者数を増やすためのヒントについてご紹介します。
開業医の給料はどれくらい?
医師は弁護士や会計士と同じように安定した職業で経済的にも潤っているというのが世間一般のイメージです。しかし医療業界に携わっていない方からすれば医師がどれくらいの収入を得ているかは実際のところあまり把握していないのではないでしょうか。
開業医は勤務医の1.7倍高い
医師は大きく分けて勤務医と開業医の2種類があります。それぞれの給料は診療科目や状況によって異なりますが、概ね開業医の方が収入面において優っているという傾向にあります。
過去に発表された情報によると開業医は勤務医に比べて年収が1.7倍多いと言われています。この情報だけを見ると開業医の方がお得に見えるのではないでしょうか。
経営に失敗する可能性もある
しかし開業医は勤務医がやらないような業務やリスクもあります。それらに上手く対応出来ないと高収入にはならないので、必ずしも開業医は儲かるとは限りません。
これから開業医を目指す方は開業医が得られる給料の相場と収入面で失敗しない開業医になるための術を知っておく必要があります。勤務医から独立して開業医を目指すのであれば、しっかりと給料の稼げる開業医を目指しましょう。
開業医の平均年収は約2500万円
開業医の平均年収は診療科目や経済状況にもよるが約2500万円です。これを月の給料に換算すると月給約210万円となります。勤務医の平均年収が約1400万円なのでそれに対して約1.7倍高くなります。
この金額はあくまでも相場なので当然これよりも高い、あるいは安い給料の開業医もいます。上手に経営している開業医の中には年収5000万円を超えている方もいます。
自由診療分野は高収入
年収が高い開業医は自由診療分野を取り扱っている傾向にあります。自由診療とは保険を使用せずに患者様が医療費を全額負担する診療科目の事です。美容外科や不妊治療を取り扱っている診療科目が有名です。
自由診療分野は他の科目と違ってサービス内容や価格設定を自由に決められます。また広告や宣伝活動による影響も大きいので積極的に取り組むことで患者数をたくさん増やすことが出来ます。
このように自由診療分野は医師としての業務だけでなく、クリニックを経営して利益をたくさん出すための手腕も問われます。その分上手に経営すれば従来の開業医の倍の年収5000万円も狙える分野となっています。
給料が高い開業医と安い開業医の違い
開業医は給料が高いと言われていますが残念ながら全ての開業医が高い給料を得ているとは限りません。給料が安くて苦労している開業医も存在するのが現実です。両者には明確な違いが存在します。
最初は誰でも給料が少ない
まず開業当初の収入に関してはほぼ全ての開業医が多くありません。何故ならば開業当初は患者数が少ないからです。
新しい土地で開業した場合、知名度も人脈も何も無い状態からのスタートとなります。新しいクリニックを設立して患者様を待っていても中々集まりません。
しかし様々な方法による宣伝や近隣住民の口コミによって次第に患者数が増えていき、給料も上がるという仕組みになっています。そのため誰でも最初の内は収入の少なさで苦労するのは当然です。給料の金額に差が出るのは開業して数年後になります。
数字の取り扱いが苦手
医師は理系の分野に該当しますが、意外と数字の計算が苦手な人が多く存在します。開業医は診療や手術をするだけでなく、クリニックの経営も行わなければなりません。
開業医は毎日・毎月の収入額と支出額を計算して、どれだけの利益が出たかを計算しなければなりません。そのため医学だけでなく経済や商売の知識も求められます。
しかし子供の頃から医師を目指していた人は、経済学や数字の計算にはあまり手を付けないというケースが多々見受けられます。また学生時代のアルバイトの経験も他の学部の学生に比べて少ないため、ビジネスに触れる機会も少ない場合が多いです。
そのためどんなに腕の立つ医師でもクリニックの経営が上手くないというケースもあり、そのような開業医は給料が安いままで苦労してしまいます。
計画性が無い
開業当初は誰でも給料が少ないですが、患者様を増やして人気のあるクリックになると収入も次第に増えます。収入を増やすためには計画的に経営しなければなりません。
クリックの開業をする際は多額の資金を用意する必要があります。その資金は自己資金だけでは難しいので金融機関からの融資に頼るケースがほとんどです。その融資をどれだけの期間で完済できるかを計算するために計画を練らなければなりません。
また新築の設計費用や医療機器を購入・リースにも多額の資金が必要です。この様に開業医は多額のお金を計画的に運用しなければならないので、経理の知識が無い方は失敗しやすい傾向にあります。
医療スタッフと上手い連携が取れない
開業医は自分が経営の全責任を請け負いますが、ある程度の業務は医療スタッフに任せることも出来ます。優秀な医療スタッフを雇って経営の一端をお願いすることで自分が治療や手術に専念出来ますが、そのためには医療スタッフとの円滑なコミュニケーションが求められます。
独りよがりで気づかいの出来ない開業医は医療スタッフからも信用されず、クリニックで長く働いてもらえないので経営に失敗してしまいます。
この様に給料が安い開業医は医師としての活動以外の部分で失敗していることが多いです。逆に給料が高い開業医は経営の正しい知識を持って計画的に進めて、医療スタッフとの連携も円滑に進めています。
患者数は開業医の給料に大きく左右する
開業医の主な収入源は患者様からいただく治療費です。クリニックをお店に例えると患者様はお客様に該当します。開業医は自身の医療技術を患者様に売っている形になるので、患者数は開業医の給料に直結します。
クリニックは原価率が高い
クリニックと小売店で原価率を比較すると一目瞭然です。一般的な小売店の場合、商品の原価(仕入れる際の価格)が約80%で、残りの約20%が店の利益となります。しかしクリニックの場合、医療機器(注射、薬品など)の原価は約10%程度でそれ以外は全て利益となります。この様にクリニックは利益率が非常に高いため、毎日の患者数が経営に大きく影響します。
開業医が患者数を増やすための活動は非常に重要です。むしろこれをやらないと開業医として成功しないと言っても過言ではありません。
クリニックは昔に比べて件数が多く、競争率も高くなっています。現在は開業すれば患者様が来てくれるという状況ではないので、自分で宣伝活動をしてご自身の力で成功へ導かなければなりません。
収入面で失敗しない開業医になるためには
開業医として上手に経営するためには患者数を増やすための方法を積極的に取り入れなければなりません。
診療科目を増やす
診療科目は開業する上で非常に重要な要素ですが、なるべく多い方が良いとされています。理由は多い方がターゲットとなる患者様が増えるからです。
特に自分が先行している診療科目と関連性の高い科目は手を付けてみましょう。例えば外科や内科は派生する診療科目が多いので紐づけしやすい傾向にあります。
医師は高度な知識と技術を要する専門職なのでこだわりを持って仕事をしている人が多いです。しかしこだわりすぎると集患に繋がらないので、ニーズに合わせて自分も変化する必要があります。
場所の特徴を利用する
開業した場所は集患に大きな影響を与えます。人が集まりやすい場所は駅前や住宅街などで郊外は中々人が集まりません。また近隣住民の年齢層も重要で、家族世帯が多い場所と年齢層が多い場所とでは対象となる診療科目が違ってきます。これらの情報を事前にリサーチして近隣住民が一人でも多い来院してくれるクリニックを目指す必要があります。
宣伝活動に積極的になる
患者数を増やすためには宣伝活動が大事です。現在は新聞や雑誌だけでなくインターネットによる宣伝も開業当初から活用しています。
特にクリニックの公式ホームページを充実させることは重要で、アクセス方法や営業時間だけでなくクリニックの特徴と明確に宣伝する必要があります。
特にブログで自分が取り扱っている診療科目に関する話題に触れることで、医療の知識をアピールして集患に繋げることは効果的です。
まとめ
今回ご紹介した内容は以下の通りです。
・開業医の平均年収は約2500万円で勤務医の約1・7倍
・円滑な経営や宣伝活動を怠ると開業しても失敗してしまう
・患者数を意識して多くの患者様に来院してもらうことで収入を増やす