医師が開業するために必要なこと
医師が開業するためには様々な準備が必要になります。自分の理想とするクリニックを具現化するためには場所のリサーチ・資金の準備・への相談や諸手続きなどやる事設計士はたくさんあります。これから開業を考えている方は事前に必要なことが何かを把握しておきましょう。
医師の開業について
医師として活動している方は大きく分けて勤務医と開業医の2通りに分けられます。勤務医は病院に所属して活動する方で、開業医は自身で医療施設を設立させた人のことです。勤務医として活動している人の中には途中で開業医に転身する方もいます。
開業医に転身する理由は様々ですが、開業医にはメリットもデメリットもたくさんあります。勤務医と違って施設の経営に関わる全てを自身で負担しなければならないため、勤務医として順調にキャリアを重ねていた人でも開業医へ転身後に苦労を感じる人もたくさんいます。
開業医は自分で全てを負担する
基本的にクリニックの開業は一人で行うので患者様の診療・治療も全て自分で行います。もし体調不良や研究などで手が離せない状態になっても変わってくれる人がいません。
ただし自分で手が回らない部分に関しては医療スタッフにサポートしてもらうことが出来ます。しかしその医療スタッフも最初からいるわけではないので必要に応じて募集して雇う必要があります。
開業医は集患(患者様を集めること)も自分で行います。患者様はお店でいうところのお客様に当たる存在なので、患者様が集まらないとクリニックの経営が成り立ちません。クリニックの立地、診療科目、建物のデザイン、告知など様々な方法を用いて多くの患者様に利用してもらえるようなクリニックを自分で作る必要があります。
開業までの準備は重要
この様に開業医は勤務医時代に他の誰かが代行していたことを全て自分で対応しなければなりません。そのため苦労することも多々あります。ただし開業医として独立すれば精神的な開放感やより高い収入など得られる物もたくさんあるので開業することにはメリットがあります。
より安全で失敗しない開業をするためにはそれなりの準備が必要です。そのためこれから開業医を目指そうと考えている方は、開業する際に必要な物を把握して置く必要があります。
開業する理由とは?
病院に所属している勤務医の中で開業を考えている方はたくさんいます。開業医を目指す理由は様々なことが考えられます。
自由に仕事がしたい
開業するということは自分が自由に使える医療施設が手に入るということです。これにより同業者がたくさんいた病院と違ってマイペースで仕事が出来るので人間関係に悩まされずに済みます。診察室も自分だけしか使わないので「自分だけのスぺースが欲しい」と考えている人にとってもピッタリです。
より高い収入を得るため
開業医は勤務医に比べて収入が多いと言われています。これはケースバイケースなので必ず多くなるというわけではありませんが、開業医は勤務医に比べて収入が1.7倍高いと言われています。しかし集患が上手くいかず経営が難航している場合は開業医と言えども高い収入が得られる見込みはありません。
開業するために必要なこと
クリニックを開業するためにはいくつかの手順を踏む必要があります。
必要な手順を踏む
新築物件でクリニックを開業する場合は1年以上に渡る準備期間が必要となります。クリニックの開業に必要な手順は主に
「建物や経営方針の立案」「土地選び」「地元調査」「銀行からの融資」「生保・損保の加入」「設計士との相談」「医療設備の選定」「工事開始」「医療スタッフの募集」「建物の引渡し」
そして開業という流れになります。
これらの手順を踏むのに大抵の場合14か月ほどかかりますが、良い条件が見つからなかったり相手との話が中々進まなくて難航することもあります。その場合開業に至るまでの期間が延びてしまうこともあります。
開業する前の準備
医師が開業するためには様々な手順を踏まなければなりません。特に手続き・申請や工事が始まる前にやることはクリニックを開業する上で基礎となる部分なので非常に重要です。
クリニックを開業する上で第一にクリニックの方針や計画を立てることが大事です。これは今後のクリニックの開業やその後の経営に至るまで全てに関わる指針となります。クリニックは「診療科目」「立地」「ターゲット層」「規模」などが施設によって異なります。これらの要素を自分の理想を照らし合わせてどのような形にするかをイメージします。
理想のクリニックをイメージする
クリニックを開業する上で理想をイメージすることは非常に重要です。自分がなぜ開業するのか?どのようなクリニックを目指したいのか?などの理由やモチベーションを追求することで目指すべき理想を固定させます。それを基本として理想を目指すために行動することになります。
開業する場所は重要
新築の医療施設を設立する場合は開業するための場所も自分で探す必要があります。立地はクリニックの集患に大きく関わる問題なので慎重に考えなければなりません。
開業する場所を決める際は駅前などの「人通りの多い所か少ない郊外か」「周囲の人口や年齢層」などがポイントとなります。駅前などの人通りの多い場所ならば当然集患は見込めますが土地代も高くなります。逆に土地代の安い郊外であっても住宅街ならば通院してくれる患者様が集まる可能性が高いので集患の見込みが立ちます。
年齢層に関しては自身が受け持つ診療科目によってメインターゲットとなる年齢層も違ってくるので何がベストかはその都度異なります。医療施設は高齢者や子供がメインターゲットとなりやすいので周囲に該当する住人がたくさんいるかどうかが集患に繋がります。
予算について
クリニックの開業は事前に予算を決めてその範囲内で設計することになります。新築のクリニックにかかる費用は診療科目や建物の造り(木造・鉄骨など)によっても変わります。大まかな目安としては5000万~8000万の工事費に設備費や土地代などが加わります。
設計士に相談する
理想のクリニックをイメージしても自分一人で実現することは非常に困難です。そこで医院・クリニックを専門とする設計士にサポートしてもらいます。土地探しや建物の設計、設備の選定なども経験と知識が豊富な設計士に相談することで理想のクリニックを作り上げていきます。
開業するための資金について
クリニックを開業するためには多額の資金が必要になります。その資金をどのように用意するかも準備段階でとても重要です。
自己資金はいくら必要?
開業する際の資金は全額自己資金ではなく、総額の2割を自己資金として負担するケースが多いです。一般的には開業に必要な自己資金は1000万~2000万円ですが、土地代もかかる場合はさらに高額な資金が必要になります。
自己資金を費やしても足りない分は銀行から融資します。融資を依頼する際は事業計画書を作って必要な資金額を事前に把握しておきます。融資の金額は建築費や設備費、月々の費用(人件費、維持費等)などの出費や診療報酬による収入の見込みを算出してから銀行へ依頼します。
自己資金ゼロで開業出来るか?
開業する際は自己資金を用意することが基本となっていますが、中には開業したくても自分で資金を用意するだけの経済的な余裕がない人もいます。そのような場合自己資金無しでも開業は出来るのでしょうか?
実際に自己資金ゼロで開業した方もいます。しかし自己資金が無いということは融資やリースにかかる負担が大きくなるので非常に難しくなります。自己資金ゼロで開業するためにはたくさんの集患の見込みが立つ可能性を見出して、融資をしてくれる金融機関が納得できるだけの具体的な事業計画を練る等の条件が必要になります。費用面での失敗が許されないので初期段階から計画的にクリニックを運営する自信もなくてはなりません。
設備は必要最低限に留める
設備費を抑える方法として開業時の医療設備は必要最低限に留めておきべきという考え方があります。開業した医師の方々からは「開業時に必要だと思って用意した備品・設備の中に使う機会が滅多にない物がある」という意見がたくさん挙がっています。診療・治療に使用する設備は高額な物ばかりなので、不要な物を購入してしまうと資金の無駄遣いになってしまいます。
そのため開業時に購入する医療設備は必要最低限に留めておき、必要に応じて設備を追加していくという方法なら無駄なく設備を購入することが出来ます。
まとめ
今回ご紹介した内容は以下の通りです。
・医師の開業は自立や収入面など様々な動機がある
・開業するためにはまず理想のクリニックをイメージしてそれに向かって行動する
・費用は自己資金以外に銀行の融資も利用できるが自己資金が少ないと後の負担も大きくなる
岡部克哉事務所について
岡部克哉事務所では患者様が通院しやすく医療スタッフが作業しやすい医院・クリニックの設計を行っています。施主様のニーズと診療科目が持つメインターゲットを把握して、他所との差別化を意識しながら「この医院・クリニックで診て欲しいまたは働きたい」と思ってもらえる医療施設を目指します。