クリニックの受付に必要な要素とは?採用時の注意点も
クリニックの受付は、さまざまな業務を行うことはもちろんクリニックの顔ともいえる重要な役割も果たしています。一般的に受付が行うことの多い業務内容や受付に向いている人材、採用時の注意点についてご紹介します。クリニックを開業するにあたって、どのような人材を確保するべきか悩んでいるお医者さんはぜひ参考にしてみてください。
◼ クリニックの受付とは
クリニックの受付は、医療事務の一つです。医療事務に関する資格を持っている人はもちろん、未経験でも始めやすいことや専門的なスキルを身に付けられることから人気の職業となっています。クリニックの受付が実際に行う業務内容も重要ですが、クリニックを訪れた患者様にとって受付がどのような存在かを知っておくことも大切です。
病気や怪我による不調で訪れることの多い患者様にとって、クリニックに入ってすぐに接するスタッフが受付ですよね。そのため患者様にとっては受付がクリニックの顔といっても過言ではありません。また患者様の不安な気持ちを取り除いたり落ちつけたりすることができれば、患者様も安心して治療を受けられることでしょう。クリニックの受付の採用を受けてみようと考えている人、受付を採用しようと考えている人は、業務をこなせるかどうかだけではなく、患者様にとっての受付がどのような存在であるかをしっかり認識しておきましょう。
◼ クリニックの受付の業務
クリニックの受付はカウンター越しに患者様の対応をしているイメージが強いかもしれませんが、受付の業務はそれだけではありません。規模の大きい病院と比べてスタッフの数が多くないクリニックでは、医療事務として他のスタッフのサポートを行うこともあります。そこでクリニックの受付が行うことの多い業務内容についてご紹介します。
・患者様への対応
クリニックの受付は患者様への対応というイメージが強い人も多いことでしょう。患者様から見える業務内容としては患者様への対応が主な仕事だといえます。来院された患者様から診察券を受け取り、保険証の確認や問診票の記入依頼を行います。初診の方には新しく診察券を発行したりカルテを作成したりするのも受付の仕事です。クリニックに入ってすぐに接するスタッフなので、笑顔で丁寧に対応することが求められます。
また患者様から症状をお聞きして、医師や看護師といったスタッフに正しく伝えることも大切です。伝え忘れてしまうと患者様は再度説明しなくてはならなくなるため「受付の人に言ったのに…」といった気持ちになるかもしれません。受付や他の医療スタッフからすると、病気や怪我といった不調のある人の対応をすることが日常となっていますが、患者様にとっては非日常であることを忘れずに対応するようにしましょう。
・会計
患者様が診察を終えると、カルテの入力や保険点数に応じた費用を請求する業務へと移ります。カルテの情報が間違えていれば費用も変わってくるため、正確にデータを入力する必要があります。患者様の会計を終えたら、次に来院していただく予約を行う場合もあります。患者様の診察券とクリニック内の予約表のどちらにも漏れがないように記入します。
・レセプト業務
受付の業務の中で専門性が高いのが、レセプト業務。患者様はクリニックに保険証を出すことで保険診療を受けることができます。そのためクリニックは健康保険組合や国民健康保険組合などに対して、患者様がクリニックに支払った割合以外の費用を請求する必要があります。レセプト業務は、カルテの内容から診療報酬点数を算出して、レセプトの作成や点検を行うため、的確に行わなければならない重要な業務となります。
・データの整理
カルテが紙媒体の場合は、使用したいときに見やすいような順番で並べたり、入力し終わったカルテを整理したりすることも業務の一つです。受付だけではなく他のスタッフも確認することがあるパソコンの中のデータは、自分が使いやすいようにだけではなく他の人が見ても分かりやすいように定期的に整理するようにしましょう。
・掃除や片付け
受付だけが行う業務ではありませんが、掃除や片付けも業務の一つだというクリニックが多いことでしょう。受付内を整頓することはもちろん、待合室やクリニックの玄関の掃除、片付けを定期的に行う必要があります。クリニックは他の施設と比べて清潔感が重要なので、患者様が気持ちよく来院していただけるように怠らず丁寧に行うようにしましょう。
◼ 受付に向いている人材
未経験でも始められるのが受付の魅力でもありますが、採用面接を受ければ必ず受かるというわけではありません。クリニックの顔ともいえる受付の採用は他のスタッフと同様、慎重に行われます。受付に向いている人材には特徴があるのでしょうか。
・コミュニケーションが得意
クリニックの受付は患者様への対応が主な業務なので、コミュニケーションを取ることが得意な人が向いているといえます。診療科目によって来院される患者様の層が異なりますが、老若男女問わず患者様と丁寧にコミュニケーションを取れることは重要な条件です。患者様だけではなく医師や看護師など他のスタッフともコミュニケーションを取りながら円滑に業務を進められることも重要な素質です。笑顔で話せること、冷静に対応できること、分かりやすく説明できること、ができる人には受付が向いているでしょう。
・事務作業が得意
患者様への対応の他に、会計やデータの整理といった事務作業も業務内容に含まれています。患者様の診療内容の入力や費用の請求を正確に行う必要がありますが、間違いのないように対応しようとするあまり患者様の待ち時間を長くしてしまうのも良くありません。そのためクリニックの受付は事務作業を素早く的確に行えることが重要な能力だといえます。
・人の痛みに寄り添える
クリニックに来院する患者様は、病気や怪我などで何かしらの不調を抱えている人がほとんどです。不調のない状態より気持ちの面でも不安定であることが多いため、患者様の気持ちに寄り添って対応することが求められます。受付では患者様の症状をお聞きすることも多いため、患者様の痛みに寄り添いながら安心感を与えるように対応することが大切です。
◼ 採用時の注意点
採用面接では、受付に向いている人材であるかどうかを見極める必要があります。採用した人材がすぐに離職してしまったりトラブルを起こしてしまったりすると、またすぐに採用業務を行わなければなりません。クリニックの受付として相応しいかどうか、長く続けてくれるかどうかを見極めるための注意点をご紹介します。
・履歴書をしっかりチェック
採用面接を行う際には、履歴書をしっかりチェックすることが大切です。面接当日に履歴書を持参してもらうようにしているクリニックも多いかもしれませんが、できれば面接より前に履歴書を持ってきてもらったり送付してもらったりすることをおすすめします。面接の時間を長く取ることができない場合には特に、質問したい内容や気になる項目を事前にチェックした上で面接に臨みたいためです。学校の中退や転職の多さなど、面接時に質問しておきたい項目を見落としてしまったために、後々トラブルが起こってしまうということも。そのため履歴書は事前に確認した上で質問したいことを明確にまとめておくようにしましょう。
・クリニックの雰囲気との一致
クリニックを開業するときには、どのような雰囲気のクリニックにしたいかをイメージしている院長先生も多いことでしょう。クリニックの外観や内装の雰囲気はもちろん、スタッフにどのような対応を求めているかといったこともクリニックの雰囲気に含まれます。明るく、穏やかに、冷静に、など、院長先生が求めるクリニックの雰囲気と一致するかどうかも面接でチェックするべき項目となります。
・面接で人柄を引き出す
面接では緊張してなかなか自分を出すことが難しい人も多いはず。そのため人柄やコミュニケーション能力が掴めないことも多いかもしれませんが、オープンクエスチョンを取り入れることで人柄を引き出すことができます。自分の言葉を交えながら自己紹介をしてもらったり、「はい」か「いいえ」だけでは答えられないような質問をすることで話し方や表情を見ることができます。例えば「患者様が保険証を忘れたと言われたとき、どのような対応をしますか?」や「〇〇といった経験はありますか?そのときどのように対応しましたか?」といった質問をし、具体的な回答が聞けるまで掘り下げていきます。面接者が話す時間をたくさん作ることで、本来の人柄を引き出すことができます。
◼ まとめ
クリニックの受付といえば、診察券を受け取ったり会計をしたりと患者様への対応のイメージが強い人が多いかもしれません。実際に患者様への対応が主な業務ではありますが、他にもレセプト業務やデータの整理、掃除や片付けといったさまざまな業務を行っています。受付は患者様がクリニックに来院したときに一番初めに接するスタッフです。患者様が気持ち良く来院していただけるように、笑顔で丁寧に対応することが求められています。医療事務という側面もあることから、正確に事務作業を行えることも重要な素質です。
岡部克哉建築設計事務所では、クリニックの設計や開業のお手伝いを行っています。医師や看護師といった医療スタッフが働きやすい環境を整えることはもちろん、患者様にとって過ごしやすいクリニックづくりを徹底しています。クリニック開業時には長い期間をかけて準備を行う必要がありますので、開業をご検討の際はぜひお気軽にご相談ください。