クリニック経営を成功させるスタッフとのコミュニケーション術
クリニックの存続に欠かせない、スタッフの力。医療スキルの高さだけでなく、患者様とのコミュニケーション、医師との連携力など様々な部分で重要性を感じることでしょう。
クリニック経営を始めた後で困らないように、前もって知っておきたい、スタッフが定着する職場環境づくりや離職の傾向と対策を見てみましょう。
コラムのポイント
・クリニックの経営は、多くのスタッフによって支えられています。実務面だけでなく、患者様との関係構築や職場の風土形成を担うなど、多くの役割を果たしてもらっています。
・コミュニケーションや積極性の減少、意見を言わない、休みがちで出勤しなくなる、といった行動がスタッフ離職のサインです。
・笑顔と挨拶を心がけ、勤務体制と仕事量の見直しやコミュニケーションを増やすなどして、フラットで風通しの良いクリニック作りが経営成功の初めのステップです。
クリニック経営はスタッフに支えられている
クリニックは、多くの人の力によって支えられています。経営者自身はもとより、スタッフの力はとても大きく評判を左右することもあります。
優秀なスタッフがいれば、医師は診察に集中することができます。仕事をテキパキとしてくれるだけでなく、患者様との関係性の構築、うまく立ち回ることもしてくれるので、任せられることは任せて経営に集中することができるでしょう。
このようないい職場の状態が続くことは理想的ですが、スタッフが離職をすることで一気にバランスが崩れることもあります。
優秀なスタッフ、経験豊富でクリニックを支えてくれるスタッフが離職をしてしまうと、クリニックのサービスの質が一気に低下してしまう恐れがあります。自分の症状をよく知ってくれているスタッフがいたから来院していたような患者様の客足も遠のくでしょう。新しいスタッフを採用したとしても、仕事を覚えて求めるレベルに達するまでには時間と労力、お金がかかります。また周りのスタッフにその分負担がかかることで、さらなる離職者が生まれるという流れが生じてしまいます。
クリニック経営を成功させるためには、常日頃からスタッフとコミュニケーションをとり、異変やサインを見逃さないようにしておくことが大切です。
スタッフ離職のサイン
クリニックスタッフの離職は、いくつかのサインから読み取ることができます。このサインを見逃さないことが、離職者を減らす大きなポイントです。
今までは休日出かけた場所や美味しい食べ物のようなプライベートなこと、近状についてなどを話しコミュニケーションを取っていたにも関わらず、少しずつ減ってきた場合は注意が必要です。
離職を考えている場合、今までのような関係性を保つ必要がなくなることもありますが、離職する気まずさを抱えていることもあるからです。また、目を合わせて会話することが減った、心なしか笑顔が減った、自分のことを話さなくなった、というのもサインに含まれます。
仕事に対して、目に見えて積極性がなくなってきた時も注意が必要です。
向上心があり、普段から多くの仕事を引き受けてくれていた人が仕事を引き受けなくなった場合、仕事への意欲を失っていたり、職場や仕事内容に不満が溜まっていたりすることが考えられます。それ以外にも、離職を決意しているため仕事量を少しずつ減らしているというパターンもあります。
いずれにしろ、今まで引き受けてくれていた仕事が周りの人に流れていくことで、クリニックの人間環境や職場の空気にも少しずつ影響が現れます。
「ここはこうしたほうがいい」「このやり方ではなく、あのやり方のほうが結果に繋がるのでは」という意見は時に耳がいたいものですが、クリニックをより良いものにしたいという純粋な思いからくる、経営者にとってはありがたい意見です。
こういった意見ではなく、気になるのが職場環境や仕事内容、給与形態に対する不平不満です。職場や仕事内容に対する不平不満は、出ないに越したことはありませんが、出ているうちはまだ安心かもしれません。出ていた不平不満が出なくなることが最も危険です。原因が解消される見通しがなく、言い続けても無駄だと判断し離職する、という流れに繋がりやすくなります。
不満からの離職は、残ったスタッフのモチベーション低下、新規雇用の難航など負の連鎖にもなりかねないので注意が必要です。
理由が不明瞭なまま休みがちになる、出勤しない、という行動に移している時点で、離職に対する意思が固まっていることは容易に想像がつきます。また、積極的に有給休暇を消費し始めるのも離職に向けた準備が大半でしょう。
出勤しなければ話も聞くことができませんが、様子がおかしい、なんだか気になる、という場合はこまめに話を聞くようにしましょう。
試みるべき対策4つ
クリニックの経営を続けていくためにも、スタッフとの良質なコミュニケーションは重要です。経営者自ら、日常的に行うことでコミュニケーション力の高いクリニックの組織基盤を作ることができます。
人との関わりで大切なのはやはり笑顔と挨拶です。当たり前すぎることかもしれませんが、当たり前なことにも関わらずできない人が増えてきているからこそ、コミュニケーションに問題が生じているのです。
組織の風通しの良さは、目には見えませんがそのまま患者様にも伝わります。笑顔と挨拶でクリニックを良い雰囲気で包み込みましょう。
仕事量が多く拘束時間が長い、人手が足りないため無理なシフトをこなしている、といった負荷が知らず知らずのうちにかかってしまっていることがあります。仕事量は適正か、勤務体制が悪くなっていないかの見直しを行いましょう。
また、ベテランスタッフや仕事の早いスタッフには、仕事が集中しがちになります。それ以外にも組織の潤滑剤として動いてくれていることも多々あります。頼りになるため甘えることも大切ですが、周りのスタッフとのバランスもとるようにしましょう。
最近気になっていること、旅先での出来事、子どもの様子など、とにかく会話をしてコミュニケーションを増やしましょう。常日頃から信頼関係を築いておくことが大切です。そうすることで、思っていることを言えない、意見をしにくい関係性に陥ることなく、一緒に仕事をする仲間としてポジティブな関係を築くことができます。
毎日顔を合わせるもの同士が働く場所が、上下関係が厳しい、年功序列が激しい、新人に対する風当たりが強い、という環境であれば、多くの人がそこで働きたくない…と思うでしょう。
クリニックの経営をスタートさせる、開業の段階でスタッフ同士の関係に激しく差が生まれないような組織を作ることが大切です。経営理念を形にしていくためにも、心がけておくと良いでしょう。
経営スキルとともにコミュニケーションスキルの向上を
日頃の行動や声かけの積み重ねによって、人間関係や信頼関係は構築されていきます。クリニックを長く続けていくためにも、コミュニケーションスキルも磨きながら経営を成功させていきましょう。
建物やクリニックをつくるということは人生最大のイベントのひとつです。
決して不注意なミスは許されません。
我々は常に、もし自分がこのクリニックをつくる施主だとしたらどうするか、常に施主様の立場を考えながら、設計や監理にあたっています。
スタッフや先生、患者様にとって良質なクリニック設計、リフォームは岡部克哉建築設計事務所にお任せください。