医院開業コンサルタントとは?選び方や開業の失敗例も
クリニックの開業を検討しているお医者さんは医院開業コンサルタントという言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。クリニックを開業する際には、土地選びや建物の建設、医療機器の選定、人事、広告などさまざまな準備を行う必要があります。医院開業コンサルタントとは、クリニックの開業準備をサポートするコンサルタントのことをいいます。今回は医院開業コンサルタントの種類や選び方のポイント、開業時の失敗例などについてご紹介します。
◼ 医院開業コンサルタントとは
クリニックを開業する際、多岐にわたる準備が必要なため、開業しようとしているお医者さん一人で準備を進めるには厳しい部分があります。勤務医としての仕事を続けながら準備を進めるとなるとなおさらのことです。そのため少しでも負担を減らすために開業に関する準備は医院開業コンサルタントに依頼することもできます。特に都心部ではお医者さん一人で準備するよりもコンサルタントに依頼する方が一般的になっています。
◼ 医院開業コンサルタントの種類
一言で医院開業コンサルタントといっても、医院開業に関するコンサルタントを専門に行っている会社もあれば、医療や建築に関する会社がサービスとしてサポートを行っている場合もあります。その種類によって特徴やサポート内容が異なるため、慎重に選ぶようにしましょう。
・医薬品や医療機器関係
勤務医として働いていると、医薬品や医療機器メーカーとのつながりがあるお医者さんも多いはず。そういったお医者さんにとって気軽に依頼しやすいのは医薬品や医療機器関係のコンサルタントかもしれません。競合となり得る他の医療機関の情報を入手しやすかったり、特定の科目を専門としている業者であれば役に立つノウハウを教えてもらえたりすることもあります。しかし医薬品や医療機器関係の業者は、商品購入のおまけとしてサポートを行ってくれる形であるが多いことに注意が必要です。
・設計事務所
設計事務所やハウスメーカーなど、クリニックの設計や建設を行う業者もコンサルティング事業を展開している場合があります。建物と連動して準備を進めることができるため、スケジュールの管理は行いやすいですが、業者によっては採算よりも設計が優先となってしまうことも。医療関係のコンサルタントと同じようにサービスとして行っている場合は、サポート内容に期待できない場合もあることを頭に入れておくようにしましょう。
・会計事務所
会計事務所の中には、医療機関の顧問を多く行っているところもあります。そのような会計事務所は専門的な知識が豊富なので、安心して任せられるかもしれません。しかし開業後の顧問契約を条件としている場合が多いため、契約前にしっかり検討して選ぶようにしましょう。
・開業コンサルティング専門
医院開業や経営に特化したコンサルティングを専門としている業者もあります。医療関係や建築関係の業者ではコンサルティング事業がおまけのような役割である一方、コンサルティング自体にお金を払うことからサポート内容が手厚いことが多いのが特徴です。開業までではなく経営の支援も行っているかどうか、実績はあるかどうか、といったことも確認してから契約するようにしましょう。
◼ コンサルタント選びのポイント
コンサルタント会社の種類をご紹介しましたが、実際にはどのような点に注意してコンサルタントを選ぶと良いのでしょうか。コンサルタント選びのポイントをご紹介します。
・経験や実績の有無
医院開業コンサルタントという肩書きを名乗っていても、開設手続き程度しかやったことがないというようなコンサルタントもいます。そのようなコンサルタントと契約して、費用だけを搾取されるようなことのないように経験や実績の有無は事前に確認するようにしましょう。これまで経験や実績のあるコンサルタントであれば知っているはずの専門的な質問をしてみると、見分けられるかもしれません。例えば開業にかかる費用や診療科目ごとの目標患者数、医療機器の相場、メーカーごとの特徴など。質問に対して明確な答えが返ってくるコンサルタントを選ぶことをおすすめします。
・人柄や相性
医院開業コンサルタントは、クリニック開業に向けて長期間共に準備を進めていく相手となります。いくら経験や実績があったとしても、人柄が良くなかったり相性が良くなかったりするとうまくいかないこともあります。そのためいくつかのコンサルタントと話してみて、人柄や相性も確認することをおすすめします。
・特色や得意分野
コンサルティング会社の種類をご紹介しましたが、同じ種類の会社であってもそれぞれ特色や得意分野が異なります。例えば医療関係の会社であれば医薬品や医療機器に関する知識、建設関係の会社であれば建物に関する知識が豊富なのが特徴。医院開業コンサルタント専門の会社であれば費用こそかかりますが、幅広く手厚いサポートを受けられる場合が多いのが特徴です。医院開業コンサルタントに何を求めるかによっても、どのような種類のコンサルタントに依頼するべきかが変わってきます。
・料金
医院開業コンサルタントに依頼する場合の料金は、会社によって異なります。商品購入のおまけとしての位置付けであれば無料でサポートしてくれることもありますが、その場合手厚いサポートや開業後の経営に関するサポートは期待できないかもしれません。逆に医院開業コンサルタント専門の会社は手厚くサポートしてもらえる代わりに費用が高い傾向にあります。自分で準備を進める部分と依頼したい部分の線引きを決めた上で、どこまでサポートしてほしいのかを考慮してから選ぶようにしましょう。
◼ 医院開業の失敗例
クリニックを開業してからのことを想定していたとしても、開業準備や設計の段階では想像しきれないことがたくさんあります。実際にあった失敗例を知っておくことで、より具体的に開業後の想像をしやすくなります。開業してから後悔することのないよう失敗例を頭に入れておくようにしましょう。
・開業場所
クリニックの設計というよりは開業準備の段階の内容ですが、立地選びも失敗例としてよくあげられます。開業場所を選ぶ際には、エリアや人通りが重要ですが、立地が悪いと患者様が増えない原因となります。クリニックの開業は一生に一度の大きなことなので、開業場所選びで失敗しないように検討に検討を重ねて選ぶようにしましょう。立地選びなど、開業時のポイントについてはこちらの記事を参考にしてみてください。
・資金計画が足りなかった
医院を開業してすぐは患者様がたくさん来てくれるとは限らないため、売上が少なかったとしても人件費や家賃を支払えるだけの経営資金を用意しておく必要があります。せっかく念願の医院を開業しても、経営が上手くいかずにスタッフのお給料を支払えないといったことになっては困ります。どのくらいの額必要であるのか、期間なども事前に計算した上で経営資金を用意しておくようにしましょう。患者様が増えない場合は、看板や広告を使った宣伝を行ったり、インターネットで検索したときにヒットするような仕組みを作ったりことが大切です。また一度来てくださった患者様が「次も診てもらいたい」と思うように、ニーズを理解して信頼を得るようにしましょう。
また開業資金を全て自己資金でまかなえるというお医者さんもいるかもしれませんが、借り入れをする場合は、融資を受けるために事業計画を提出する必要があります。融資のためだけではなく、実際に経営していくにあたって必要なものでもあるため、真剣に考えるいいタイミングとなるでしょう。
・患者様やスタッフとのトラブル
クリニックを経営していくにあたって、患者様やスタッフとのトラブルが起こることも考えられます。患者様の視点、スタッフの視点に立って考え、相手のことを思いやった言動を意識することでトラブルを回避することができるかもしれません。また採用時にはなかなか良いと思える人材に出会えないと焦ってしまいますが、妥協してしまうとトラブルの原因になったり離職につながったりすることもあります。開業時の大変なときを共にしてくれるスタッフなので、しっかり連携を図りながら信頼関係を築いていくようにしましょう。
・コンサルタント任せにしてしまった
クリニックの開業を予定しているお医者さんは、勤務医として働きながら準備を進めている人も多いことでしょう。勤務医を辞めてから開業準備に専念していては生活が厳しくなってしまうこともあるため、忙しく働きながらの準備だとコンサルタント任せになってしまうことも。コンサルタントの言う通りに進めていると費用が高くなってしまっていたり、仕上がった建物に納得がいかなかったりと、不満やトラブルのもとになる可能性があります。そのため働きながらだと時間を作るのが難しい場合もあるかもしれませんが、信頼関係を築きながら一緒に準備を進めていくようにしましょう。
◼ まとめ
クリニックを開業するにあたって、医院開業コンサルタントにサポートを依頼しようと考えているお医者さんも多いかもしれません。医療関係の会社、建設関係の会社、コンサルタント専門の会社などさまざまな種類のコンサルタントがいますが、岡部克哉建築設計事務所でも設計と同時に開業のお手伝いをしております。お客様のご要望をしっかりお聞きした上で、希望に添えるような設計・監理を行ってまいります。クリニックの開業をご検討の際はぜひお気軽にご相談ください。電話やメールでのお問い合わせもお待ちしております。